新型コロナウイルス感染症の影響は、多くの企業に深刻な打撃を与えました。事業環境の激変は、生き残りのために大胆な変革を迫り、多くの企業が苦悩しています。
そんな中、政府が支援策として打ち出したのが「事業再構築補助金」です。
これは、新市場進出、事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰など、思い切った事業再構築に取り組む中小企業等を支援する制度です。
従来の補助金とは異なり、単に資金繰りの支援にとどまらず、事業計画の策定から実行、採択後のフォローアップまで、総合的な支援を受けることができます。まさに、未来への架け橋となる羅針盤のような存在です。
しかし、制度内容が複雑で、申請手続きも煩雑なため、多くの中小企業が活用できていないのが現状です。
そこで、今回は、事業再構築補助金の独特な視点からの解説と、成功するためのポイントを3回に分けて詳しく解説していきます。
1. 従来の補助金との違い:真の変革を後押し
事業再構築補助金は、単に資金繰りを支援する従来の補助金とは一線を画します。
その最大の特徴は、事業再構築計画の策定から実行まで、一貫した支援を受けることができる点です。
具体的には、以下の支援を受けることができます。
事業計画策定支援:専門家が事業計画策定を支援し、事業の成功可能性を高めます。
資金支援:事業再構築に必要な経費の一部を補助します。
マッチング支援:必要な人材や情報との出会いをコーディネートします。
アフターフォロー:事業実施後のフォローアップを行い、課題解決を支援します。
2. 9つの類型から選べる支援メニュー
事業再構築補助金は、9つの類型から、自社の状況に合った支援メニューを選ぶことができます。
新市場進出類型:新たな市場への参入を支援します。
事業転換類型:既存事業から新たな事業への転換を支援します。
業種転換類型:異なる業種への転換を支援します。
事業再編類型:事業の統合、分立、譲渡などを支援します。
国内回帰類型:海外生産拠点を国内に戻すことを支援します。
地域サプライチェーン維持・強靱化類型:地域内サプライチェーンの維持・強化を支援します。
成長分野進出枠:特に成長分野への進出を支援します。
卒業促進上乗せ措置:一定規模以上の企業が卒業した場合に上乗せ支援を行います。
サプライチェーン強靱化枠:サプライチェーンの強靱化に向けた設備投資を支援します。
3. 審査のポイント:本気度と実現可能性
事業再構築補助金の審査では、以下の点が重点的に評価されます。
事業再構築の必要性と目的の明確性:なぜ事業再構築が必要なのか、その目的が明確に示されているか。
事業計画の具体性と実現可能性:事業計画が具体的で、実現可能性があるか。
経営陣の決意と覚悟:経営陣が事業再構築に本気で取り組んでいるか。
財務状況の健全性:事業再構築を支える財務基盤があるか。
まとめ
事業再構築補助金は、苦境を脱し、新たな成長軌道に乗るための強力な支援制度です。
しかし、制度内容が複雑で、審査も厳しいため、準備を怠らず、専門家のサポートを活用しながら取り組むことが重要です。